誰かのために成りかわるTRPG バケノカワが9/18に発売されました。
やっと読み終わることができましたので、レビューを行っていきます。
- どういった内容で遊ぶシステムなのか
- どんな気持ちで遊べばいいのか
- オススメできるポイントは何か
この手の質問に回答がでるような内容になっています。
結論から言いますと、
- バケノカワの「大切な人たちを悲しませない」物語を楽しむシステム
- 残された人を後ろから押すような、勇気づけるような前向きな気持ちで遊ぶ
- シナリオに対応したPCを深く掘り下げていく物語性
これが私なりの回答になります。
まだ未プレイですが心に何か響くモノを感じてきた、まみむめもが紹介していきます。
書籍情報
定価:2,200円
著者:平野 累次/冒険企画局
出版:KADOKAWA
発売日:2021/09/18
判型:B6
ページ数:272
ISBN:9784040742472
KADOKAWA書籍サイト
公式サイトはまだない模様「10/3現在」
公式サイトできました!!「10/8より」
・各種シート類のPDF、エラッタ(誤り修正)があります
どういった内容で遊ぶシステムなの?
バケノカワではPCは「カイブツ」です。
人のフリをして、「ワンダーランド」という不思議な遊園地で働きます。
人のフリをするのに必要なものは「バケノカワ」・・・「大切な人たちを悲しませない」と契約した人間の外側・・・外見です。
「カイブツ」は「バケノカワ」を被り、「人を楽しませる」中で、バケノカワの生前の関係者に出会います。
生前の関係者「チェインNPC」に対応したPCは「チェインPC」として物語の当事者になります。
「チェインPC」は「バケノカワ」の契約を果たすために「チェインNPC」を悲しませないように立ち回ります。
これがこのシステムの物語になります。
- PCは「バケノカワ」を被った「カイブツ」
- 「バケノカワ」の材料は死んだ人間
- 「カイブツ」は「人を楽しませる」
- 「カイブツ」は「バケノカワの大切な人たちを悲しませない」
- 「大切な人たちを悲しませない」ことが1つの物語になる
カイブツってどんな生き物?
「カイブツ」について分かっていることはあまりないようです。
人間ではない。
生まれながらにして「人を楽しませよう」と考えている。
それ以外は、比較的自由に設定できます。
詳しい設定はワールドガイドに「あるなしリスト」としてたくさん載ってますので一読してみると、色々な発見があります。
心を救う、パレード
このシステムは「チェインPC」が1つの物語(シナリオ)の当事者になります。
自分の「チェインNPC」が「ワンダーランド」にやってくるので、「大切な人たちを悲しませない」ようにします。
その方法として「パレード」を行います。
「ワンダーランド」の「パレード」は特別で、人の負の感情が「エモーショナルビースト」として具現化します。
PCたちは「パレード」の演出という”てい”で戦い、それを少しだけ解消します。
「チェインNPC」の感情はとても大きく「チェインビースト」としてあなたたちの前に現れます。
「チェインビースト」を倒すことで、「チェインNPC」の感情は少し解消され、楽しませることができるのです。
- 人々を心を助ける「パレード」
- 「パレード」では人の負の感情の具現化「エモーショナルビースト」が出る
- 「ビースト」を倒すことで、人々の心を助けよう!!
どんな気持ちで遊べばいいのか
物語の構造は大きく分けると3つに分解できます。
- チェインPC-NPCの関係性が分かる。
- チェインNPCを悲しませないために、パレードの準備をする。
- パレードをして、心を助ける。
目的は一目瞭然ですね。「チェインNPCを助ける」です。
心には前向き・後ろ向きがありますが、それをちょっと前に押してあげる。そんな気持ちで遊ぶといいと思います。
その中で、
- チェインPCの心の動きや葛藤を目撃して、
- チェインNPCとの関係性を後押しして、
- 自分はどうなんだろうかと思いをはせ、
- 来るべき自分がチェインPCになったときに楽しむ。
こういうステップを踏んで楽しむんだ!!という気持ちで遊ぶのがオススメです。
オススメできるポイントは何か
ここは特に個人的な意見が強くなりますが、いくつか挙げていきます。
- チェインPCはチェインNPCと「バケノカワ」の関係性を感じながら、葛藤や想いを向けれられる点
- 自分の「カイブツ」「バケノカワ」としての在り方が表現できる点
- 全員でチェインNPCを助けることができた!!という達成感
- 1つの物語で1人のPCにスポットを当てる主役性
- スタート時点の悲しい状態から救われた状態になる物語
こういった点が私自身は「バケノカワ」を遊ぶ上でオススメできるポイントです。
その中でも特に強いのは
- シナリオに対応したPCを深く掘り下げていく物語性
が遊んだ結果生まれて行くのが非常に心を揺らします。
悩ましいポイント
参加人数が現状、GM合わせて4人となっているところです。
PL2人でも遊べないこともなさそうですが、シナリオ側で調整が必要になります。
具体的には「パレードのビーストの調整」、「リミットの調整」です。
そして、チェインPCにどうしてもスポットが当たるので残った一人のPCのケアが必要になります。
人数制限がPL3人固定であること(今後のサポートで解消されそう)
良いポイント
チェインPCをシナリオ毎に立てる点がこのシステムの特徴です。
なので、キャンペーンで遊ぶことが推奨されています。
その方法が「キャンペーンで遊ぶ場合」としてどういう風に「バケノカワ」を扱うといいのかが書いてあります。
シナリオが3本付属しているのも特徴で、「キャンペーンで遊ぶ方法」を利用して、3話のキャンペーンにできるところも非常に良い点です。
キャンペーンを意識したシナリオの作り方
他システムとの比較
判定
基本的には2D6を振って「出目に4以上が1個でもあれば成功」。
技能があれば・・・セッション中に取得できちゃう・・・2D10を振ります。
出目参照するタイプはなんか久しぶりに感じます。
出目を参照するだけなので、判定自体は他システムと比較しても非常に簡単です。
戦闘
ぶっちゃけ、パレードは戦闘です。
どんどん到達ラインに押し寄せてくるビーストを押し返し、倒していく。
タワーディフェンスのような雰囲気を持っています(途中で増援が来たりもします)
ビーストの倒し方は攻撃してダメージを出すだけという単純なもの。
チェインビーストは何度も倒す必要がありますが、物語を進めれば弱体化されています。
ロールプレイ
チェインPCになった際にはチェインNPCと「接触」したり、自分の「バケノカワシーン」があったりとロールプレイをする機会は自動的に増えていきます。
他PCはパレードの準備で「調査」「交流」といった内容で自分からロールプレイを提案しやすくなっています。
楽しませようという雰囲気で遊ぶことが多くなるので、参加者全員で話しやすい雰囲気も出やすく、ロールプレイもしやすいと思います。
似てるシステム
私が感じたのは、雰囲気はモノトーンミュージアム、マギカロギアのような「悲しい」システム。
戦闘周りはブラッドムーン(ハンターズムーン、ブラッドクルセイド、ギルティウィッチーズ)を簡素化したもの。
物語の進め方はビギニングアイドルです。
書き出してみて思ったのは冒険企画局のサイコロフィクション系の良さが出ています。
結論
Kindle版
- バケノカワの「大切な人たちを悲しませない」物語を楽しむシステム
- 残された人の背中を押すような、勇気づけるような前向きな気持ちで遊ぶ
- シナリオに対応したPCを深く掘り下げていく物語性
こういう物語を作りたい、楽しみたいという方にはオススメできるシステムです。
プレイできれば、プレイ後の感想も挙げようと思います。
©Adventure Planning Service 2021
©Ruiji Hirano 2021